HPUTC’s diary

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人が人らしく生きる

オンライン・ビジネスが主流になり始めて、コム力もまた新しいフェーズを迎えている。
ソーシャルディスタンスをキープしながら、しかもマスクをしてと言うことになると、かなりコム力に知恵を絞らないと、親密感を失っていく。レストランもお一人様用サービスに軸足を変え、一人で黙々とモグモグする人たちを応援しはじめている。
社会は、人々が「親密感」をひたすら失っていく方向に傾いている。

 

ユマニチュード(Humanitude)

これは、フランス語で「人間らしさ」という意味。

1. 丁寧なお辞儀をしない

目線を相手と水平に合わせて、正面からにっこり笑ってゆっくり近づく

2. 程よい距離感を保たない

そばに寄って触れないと、お年寄りの変化に気づけない。

3. てきぱきしない

介護ワークを少しでも早く捗らせるために、テキパキ動かなければならないが、それではひたすら親密感を失っていく。なので、あくまでも相手のペースに合わせる。

4.余計なことはしゃべる

一人ひとりにいちいち話しかけていたのではつかれはてるので、そうでなくても人手不足。なので、これまたあまり話しかけずにテキパキと。しかし、これではコム力どころではないので、「常にゆっくりと、前向きな言葉で話しかける」。

5. 間違いを直さない

お年寄りは、物忘れ、なくしものなど、あれこれと行動が奇妙になっていくが、敢えて間違いを質さず、お年寄りの行動に合わせる。

 

これは、フランスの体育学の専門家イヴ・ジネストさんとロゼット・マレスコッティさんの40年以上におよぶ病院、施設や家庭での経験から生まれたケアの技法だ。これは、「あなたのことを大切に思っています」ということを相手が理解できるように伝えるための技術と、その技術を使うときに考えておくべき考え方(これを「ケアの哲学」という)。

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これが特に、認知症のお年寄りに対して大きな成果を上げてきた。それは、何よりも「人が人らしく生きること」を最優先し、その基本となる「見る・話す・触れる・立つ」を実践し、「人間らしさ」の再認識・尊重を目的としている。

 

これこそ、親密なコミュニケーション、コム力を発揮していくための真骨頂ではないか。これは、お年寄りだけではなく、毎日お年寄りを相手に無言でテキパキと介護をしつづける介護者の精神にも支障を来たしていくという。これでは、介護のプロとして働くどこではない。

創始者の一人、ジネスト氏は「ユマニチュードでは、『ケアする人』を、心身に問題を抱える人をケアする職業人(プロ)と定義し、さらにその目標としてー

①回復
②機能維持
③最期まで寄り添う

ーという3つのレベルがあり、「健康に害を及ぼさない」ことを絶対条件としている。

 

しかし、世界的な「ソーシャルディスタンス」。コロナ禍の自粛中にお年寄りの認知症がますます増え、症状も悪化の一途を辿っているという。ユマニチュードどころではないのだ。
お年寄り、それどころではなく「人の心」そのものが忘れられていく。