HPUTC’s diary

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人生の安息角

アリジコクというのを見たことがありますか?
アリの歩く速さは、一秒間に 10cm、時速 360m です。

アリの体長を 1m に換算するとその時速はなんと 36 キロ。

100m で世界記録を出すアスリートの速さは、時速 37m ほどですからその速さは世界記録並み。

安息角って

ものすごいスピードで走っている、というかアリからすれば歩いているのかもしれませんが、

そのアリを捕まえる「アリジコク」の仕掛けがまた凄いんです。

アリがどれほどのスピードだろうと、アリジコクに少しでも足がかかれば一気に地獄へと落とし込まれる、砂が崩れず安定している斜面と水平面のギリギリの角度を「安息角」といいます。

アリの足がそのギリギリの角度に引っかかった途端にこの安息角が崩れ、瞬く間にアリジコクの中に引き込まれていくんです。

このアリとアリジコクの攻防がまた凄まじい。

 

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その様は、悪の巣窟から脱出を図るハリウッドのスパイ映画さながらです。

アリジゴクに引っかかったアリは、垂直な壁を登れるほどに鋭い爪を駆使して、なんなく脱出を図ろうとする。

多少のところならすばやく駆け抜けるアスリートの足も、このアリジゴクにはだいぶ手を焼かされる。
何度かずり落とされると、焦りと苦悩の顔が大画面に大きく映し出される。

しかし、そこはさすがのアスリート。
もがき苦しみながら、ようやく脱出へと漕ぎ着ける、-とその瞬間。

そこにアリジコクの醜くも不敵な顔。

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その牙がうなり声を上げたかと思うと、砂あらしが見事にアリに命中。
すると脱出寸前のアリは崩れ落ち、それでも屈することなくまたもや這い上がる。

この攻防を繰り返すうちに、我がアスリートことアリはしだいに力尽きていく。

これが映画シーンならば、なんとか危機一髪這い出すのだが、自然界はそうは甘くはない。

ところで、このアリジコクとは何者なのでしょうか。
なんとウスバカゲロウの幼虫なのです。

 

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ウスバカゲロウは、このように繊細でスマートな形をしていますが、まだ幼虫のアリジコクは、ご覧のように不気味で大きな牙を持ち、醜くグロテスクなのです。

 

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私たちが住むこの地上世界。
まるで地雷を踏むようにどこにコロナが、どこにアリジゴクがあるかわからない。
常に、私たちの足元は砂一粒の危うさで一気にアリジゴクに落とされる。
それが人生の安息角。

 

しかも、外見はウスバカゲロウのように繊細で、楚々とした感じ。ところが心はアリジゴクのようにグロテスク
そう思って電車に乗ると、誰もがそう見えてくるから不思議です。

 

私たちには、あいまいさを由とする民族性があります。このコロナ禍にあっても感染者の数がこれほど増えてもあいまいなまま。理由は山ほどあれど、私たちの安息角は崩れていく。なんらかの基準も出さなければ「喉元過ぎれば暑さ忘れる」国民の自覚は薄れていくばかり。

 

死ぬか生きるかの前線にあっては、このあいまいさが墓穴を掘る。

「はい」は「はい」、「いいえ」は「いいえ」、このあたりを誤魔化さずはっきりしていかないと、やがてアリジゴクに呑み込まれていく。

 

YouTube vol.11 上記記事7/7配信

https://youtu.be/ux-zA6JXm2M