HPUTC’s diary

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お茶の契約

私たちには、自分の力では選べないものがいくつかある。
人種、性別、名前、血筋…。

 

それが人ならば、与えられた条件の中で少しでも状況を良くしていくことができる。
しかしそれが植物ならば、植えられたところで生きるしかない。この土ではとても生きていけないからもっといい土に移動しようと、移動している木を見たことはない。

学生時代、「もしこの木が動いたら世界は変わるかもしれない」とぼんやりと思ったことがある。大学がロックアウトされる学生運動のさ中にそんなめでたいこと考えるのは、私くらいしかいなかった。そんなぼんやりとしたきっかけで演出家を目指したのだから、これほやっぱりめでたいというしかない。

 

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このお茶の木。特長は、いったん植えると二度と植え替えができないというところにある。
初 めに植えた土地から引き抜いて別の土地に植え替えると、枯れてしまう。ひとたび植えたらそこの土地と一体となり、その地に根を張り、とどまり続ける。

 

土地によっては寒いところも、暑いところもある。たとえそこが、どんな土地であろうと一旦植えられると移動の自由はない。
お茶の木は、その地と気候の中で、その地方ならではの風味を持った茶葉を繁らせる。

 

昔の中国人は、この茶の木の特性に結婚の理想形を見たようです。ひとたび結ばれた夫と妻は、茶の木と大地のようにいついつまでも一体であるようにという願いが込められていた。

 

ところで、お茶をたしなむことを喫茶という。
学生時代は、誰もが喫茶店に屯していた。

私など、ともすると大学にいるよりサテンにいた方が長かったかもしれない。サテンのマッチ箱もいつもの間にか引き出しいっぱいになっていた。

 

「喫」は、「飲む」とか「食べる」という意味があり、飲み食いで 満たされることを「満喫」するという。そして、喫茶とはお茶を飲み、たしなみ、喜ぶこと。喫茶ということばには、もう一つお茶の契約という意味がある。茶の契約には、結婚の約束という意味があり、それが転じて、聖なる約束という意味となる。

お茶を飲むと、確かに聖なる気持ちになるかも⁈